1.ボーダーシャツ

私が持ってるボーダーシャツには、少しの秘密があるのです。
白地に紺色のボーダーで、袖は腕くるぶしが見えるくらいの九分丈。すこし分厚めのコットンで、着るとほんのり暖かい。初秋の今頃街でよく見るタイプのボーダーシャツ。デニムをはいてもさまになり、三寒四温のカンの日の、薄手のコートをかぶせても、なかなかに収まり良い。私の、私たちのボーダーシャツ。
けれど、私のボーダーは少しだけ違うのです。左の腰骨の上のほう。裾から三本目のボーダーの、その紺色と白地の間をよくみると、紺色の水平線に太陽が半分かかってる。もっともっとよくみると、そこにさざ波が光ってて、太陽に向けて帆をあげた小さな船もみえてくる。もっともっとよくみると、その船に乗る一人の少年がみえてくる。その少年は日に焼けた両の腕で櫂をこぎ、今から国をでるところ。まだ見ぬ国を目指して、長い長い旅に出るところ。
よくよく見ないと気づかない、そんな景色が隠れてます。私はそんな少年もろとも身につけて、旅に出る日を夢見ながら、今日も街を歩きます。

作・たみお

 

(2015.7.4追記)

作画は絵本作家の重田正子さんが描いてくださいました!

重田さま、すてきな絵をありがとうございます!

 

Please reload

Short Story
Please reload