9.音楽家

9.音楽家 種があれば、さあ起きろとピアノの音をやり、 芽がでれば、さあのびろとバイオリンの音をやる。 仲間が欲しければ、ドラムを呼んできて調子を足し、 はずかしがるな、とフルートでからかう。 さあみんな一斉に! 春だ春だシンバルが鳴るぞ。 のびる音階、茎をひっぱる。 つぼみがつけば、しばし風にそよがせ、ギターソロ、 妻がうたいます、花よ咲け。 僕の父は音楽家。太陽のようでありました。二階の部屋の本棚に、楽譜はいくらだってあるくせに、いったいいかに生きようか、僕は途方に暮れるのです。 作 たみお

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