10.きみちゃんとたばこ

これは、きみちゃんという正義感のつよい女の子のお話です。
ねんのためお伝えしておきます。きみちゃんは魔法が使えます。
ですので、何が起こっても、おどろいちゃいけません。

煙草を吸う人をみると、正義感のつよいきみちゃんは、むっとします。なぜかというと、きみちゃんは煙草でやけどをした事があるからです。博士がついうっかり、きみちゃんの手に煙草の灰を落としちゃったんですね。

手のこうが、じゅっとして、きみちゃんは泣きに泣きました。
それいらい、タバコをみると、きみちゃんはむっとするようになりました。

公園のベンチで、おじさんがタバコをすっています。
きみちゃんは、左手の人差し指と中指をピッピッとたて、力をこめました。これはチョキに見えますが、そうじゃありません、魔法の準備です。

さあきみちゃんが魔法をかけますよ。

その予感は街に住む、鳩という鳩に伝わって、鳩達がきみちゃんのまわりに集まりだしました。近所の犬も集まりだしました。犬に続いて猫ものんびりやってきました。猫の次は隣のおじちゃん、おばちゃん。にこにこと腕組みで見ています。子供達は、ちょっと遠巻きにして見ています。ランドセルを盾にしてる子もいます。がんばれがんばれきみちゃん!大きな声で応援する友達も見えます。

さあ、来ました。爪の先に、ビビビっと来ましたよ。これは魔法の力が満タンになった合図です。「えーい!」と、きみちゃん言いました。

すると、おじさんがふー、とはいたタバコの煙が、ふわっふわっと空中で跳ねまして、苦い匂いが、もわっもわっと甘い匂いになりました。それいけー!と子供達が飛びかかります。

子供達は、ふわふわの煙をすくいとり、口にぱくっといれました。すると思ったとおり、綿菓子の味がします。

ばんざーい、きみちゃんばんざーい!子供達はおおはしゃぎ。きみちゃんは、えっへん、と大いばり。鳩が舞い上がり、犬がはしゃいで、猫はのんびり帰っていきます。おじちゃんとおばちゃんは、歯あ磨くんやでー、と言い残しテコテコ帰っていきました。ご機嫌のきみちゃんと子供達は、商店街までパレード気分で走っていきます。

公園のベンチには、綿菓子を夢中で食べてる男の子が、ひとり座っていました。男の子は顔中を甘い砂糖でべたべたにしています。綿菓子食べるの、ひさしぶりだったんです。上手な食べ方、忘れたんですね。食べ終わると男の子は、わあい、と立ち上がり、きみちゃん追いかけて商店街へと走っていきました。
割り箸はちゃんと、ゴミカゴに捨てていきましたよ。

きみちゃんとたばこ、というお話でした。

作たみお

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