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yuriikahyakkaten
読了時間: 4分
14. 聞かせたい話
僕が、あの小学校の、兎小屋の金網の、ちょっとした破れ目から抜け出したのには、ふたつ理由があります。 ひとつは、隣の鶏があまりにもうるさかったこと。 もうひとつは、どうしても旅に出たかったからでした。なぜ僕が旅をしたいのか。それに理由はありません。だってそうしたいんで...


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読了時間: 2分
13.トランクの女の子
トランクのなかには、音楽が入っているんですって。 とても愉快で、きれいな音楽が入っているんですって。 トランクの鍵をあければ、我慢できずにピアノがもれでて、 細い隙間から、フルートもこぼれでる。ぱかっと開ければ、 ドラムとシンバルが飛び出して、踊らずにいられなくなる。...


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読了時間: 2分
12.恋をした靴の話
その靴は自由に歩く事ができました。 まるで透明人間が履いているかのように、靴だけが、右、左、と、ぺたぺた歩くのです。ですから靴は靴になったときから自由でした。行きたいところに行けました。 ショウウインドウで人待ち顔に並んでる、ぴかぴかの靴たちや、とある家の玄関で、忠実...


yuriikahyakkaten
読了時間: 2分
11.けむり
その先生を捕まえようと、街のいたるところで、眼光するどき生徒諸君がうろついています。 ある女学生は、駅前の喫茶店の窓際にすわりこみ、珈琲一杯で半日も粘ったり、ある男子学生なんかは、探偵よろしく電信柱の影に張り込み、さらに別の学生は、ペットのチワワに警察犬のまねをさせました。...


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読了時間: 2分
10.きみちゃんとたばこ
これは、きみちゃんという正義感のつよい女の子のお話です。 ねんのためお伝えしておきます。きみちゃんは魔法が使えます。 ですので、何が起こっても、おどろいちゃいけません。 煙草を吸う人をみると、正義感のつよいきみちゃんは、むっとします。なぜかというと、きみちゃんは煙草...


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読了時間: 1分
9.音楽家
9.音楽家 種があれば、さあ起きろとピアノの音をやり、 芽がでれば、さあのびろとバイオリンの音をやる。 仲間が欲しければ、ドラムを呼んできて調子を足し、 はずかしがるな、とフルートでからかう。 さあみんな一斉に! 春だ春だシンバルが鳴るぞ。 ...


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読了時間: 2分
8.ちょうちん
ある夜のこと。 お空の黄色いお月さんから、ぽろりと何かが転がり落ちました。 それをじっと見ていたきつねの子。シッポがぴんと「きょうつけ!」します。鼻がひくひく動きます。あれはいったいなんだろう、と考えているのです。 ...


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読了時間: 4分
7.あけました、のお話
その男はいつも何かが欲しかったのですが、いったい何が欲しいのか、わかりませんでした。なにか欲しいものはないかと考えながら働き、月の終わりの給金で、これこそはと思うものを買いました。薄い紙につつまれた、新しい何かは、その日いちにちを幸せにしてくれましたが、翌日には色あせて、つ...


yuriikahyakkaten
読了時間: 3分
6. ちょうちんの恋
僕は提灯である。今は冬であるから山の倉庫にてジッとしているのである。骨のじゃばらをたたんで、体はまさにぺたんこである。夏が来て、威勢の良い誰かにむんず頭を掴まれ、体がにょっきと伸びるのを待っているのである。ぼくの体には、「つ」と書いてある。上の兄弟には「ま」とあり、末の妹に...


yuriikahyakkaten
読了時間: 2分
5.リンゴのお話
その子は昔、芋虫だったと言うのです。 ある風の強い日に、私の目の前に、ぼとりとリンゴが落ちてきたのよ。まよわずかじると、あまずっぱくて美味しくて、止まらなくなってどんどんかじり、すっぽり体がリンゴに入ってしまったの。リンゴの中はピンク色。太陽の光が赤い皮を透かすせいよ、...


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読了時間: 3分
4.歩いたことのない男の話
あるところに、歩いたことのない男がおりました。 なぜかというと、その男は、お母さんのお腹からおぎゃあと産まれた時から、ずっと、中に浮かんでいるからです。お母さんと、男を結んでいたへその緒を切るのに、お医者さんは梯子を使わなくてはいけませんでした。 ...


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読了時間: 1分
3.青い傘
僕は雨の軒先で、主人の帰りをまつ、犬であります。 けむる雨の向こうに、ご主人が見えます。 もうじき僕のところにやってきます。 僕は吠えもせず、ただじっとご主人を見つめます。 あの青い傘は、主人が奥様の誕生日に買った傘。 ...


yuriikahyakkaten
読了時間: 2分
2.家の中のおうち
ほのちゃんは、小さな女の子です。もうすぐ三歳になります。欲しいものがひとつ出来ました。おもちゃ屋さんでみた子供用の、小さなテントです。 子供が2人はいればもうぎゅうぎゅうです。壁の部分はピンク色で、三角屋根の部分は紺色で、いろんな大きさの星がかいてあって、まるで夜空のようで...


yuriikahyakkaten
読了時間: 1分
1.ボーダーシャツ
私が持ってるボーダーシャツには、少しの秘密があるのです。 白地に紺色のボーダーで、袖は腕くるぶしが見えるくらいの九分丈。すこし分厚めのコットンで、着るとほんのり暖かい。初秋の今頃街でよく見るタイプのボーダーシャツ。デニムをはいてもさまになり、三寒四温のカンの日の、薄手のコ...
ちいさなおはなし
ちいさくて不思議なお話を書き溜めています。絵は読んでくださった方が書いてくださいました。
ありがとうございます。もし読んで、イメージが湧きましたら、どうぞご連絡ください。
そしてこちらで掲載させてください。
yuriikahyakkaten@gmail.com までお送りくださると嬉しいです。
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